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2026.09.12
【自社事例】議事録を「AIが作り、別のAIが検証する」2段構えで自動化
この記事を書いた人:工藤 亨(CES UP株式会社 代表取締役)
会議のたびに議事録をまとめ直す作業は、1回ごとは小さくても、取引先や会議の数が増えるほど確実に積み重なります。CES UPも、複数のクライアントとの月次ミーティングの議事録作成が負担になっていました。そこで取り入れたのが、録音からAIが議事録の下書きを作り、別会社の別のAIが原本と突き合わせて検証する「2段構え」の仕組みです。この記事では、その設計の考え方と実際の流れ、同じ仕組みを導入するときの注意点を解説します。
- 対象:CES UP株式会社(自社)の、クライアントとの月次ミーティングの議事録作成
- 課題:会議ごとの議事録作成が積み重なり、負担になっていた
- 仕組み:録音からAIが下書きを自動生成し、開発元の異なる別のAIが原本と突き合わせて検証する2段構え
- 結果:生成から検証までを人の手を介さずに完結させ、安定して運用中(時間削減の数値は未計測)
導入前の課題:議事録作成が積み重なっていた
課題は、複数のクライアントとの月次ミーティングのたびに発生する議事録作成が、少しずつ積み重なっていたことです。
CES UPは、AI導入支援やWebマーケティングで複数の企業と定期的にミーティングを行っています。会議の内容を正確に残すことは、次回の提案や作業の抜け漏れ防止に欠かせません。一方で、録音を聞き直し、決定事項や宿題を整理する作業は、会議の数だけ発生します。
AIで議事録の下書きを作ること自体は、今では多くのツールで可能です。ただし、AIの要約をそのまま共有するのは不安がありました。金額や日付、担当者の取り違えがあれば、取引先との信頼関係に関わるからです。「作る」だけでなく「正しいかを確かめる」工程まで自動化する必要がありました。
CES UPの切り口:なぜ「別のAIで検証」するのか
生成と検証を、開発元の異なる別系統のAIに分けることで、1つのAIの思い込みや癖による誤りを見逃しにくくするためです。これはCES UPの支援メソッドの1つ「AIの出力は別のAIで検証する」を、自社で実装したものです。
生成AIは、もっともらしい誤りを出力することがあります(ハルシネーション)。議事録の場合は、話されていない結論を書いてしまう、数字を丸めてしまう、発言者を取り違える、といった形で現れます。たとえばGoogle Meetの自動メモ生成のヘルプページでも、会議の要約が不完全または不正確であったり、生成されなかったりする場合があると明記されています(2026年9月時点)。
では、同じAIに「見直して」と頼めばよいかというと、CES UPはそう考えていません。作成したAIは、作成時と同じ解釈で自分の出力を読み直すため、同じ誤りを見逃しやすいからです。人間の仕事でも、書いた本人ではなく別の人がダブルチェックするのと同じ発想です。
| 設計のポイント | CES UPの考え方 |
|---|---|
| 生成と検証を分ける | 1つのAIに「作って、確認もして」と任せない |
| 検証役は別会社のAI | 開発元の異なるAIを使い、チェックの独立性を高める |
| 基準は「原本」 | 検証役には下書きだけでなく、録音の文字起こし(原本)と突き合わせさせる |
| 自社で使ってから提供 | まず自社で運用して安定性を確認し、その後に顧客へ提供する |
実施したこと:2段構えの仕組み
仕組みは、①録音 → ②文字起こし → ③AIによる議事録の下書き生成 → ④別会社のAIによる原本との突き合わせ検証 → ⑤共有、の流れで、生成から検証までを自動で実行します。
検証役のAIに確認させる観点(例)
| 観点 | 確認する内容 |
|---|---|
| 数字 | 金額・件数・日付・期限が原本と一致しているか |
| 固有名詞 | 会社名・サービス名・担当者の役割が正しいか |
| 決定事項 | 原本で合意されていない内容を「決定」と書いていないか |
| 宿題 | 担当者と期限が抜けていないか、取り違えていないか |
| 欠落 | 原本にある重要な論点が議事録から漏れていないか |
「議事録の自動化を、自社の会議やツールに合わせて設計したい」という方へ。録音・文字起こしから検証までの仕組みづくりをご支援します。
結果:生成から検証まで無人で完結
現在は、録音からの議事録の生成と検証までを人の手を介さずに完結させ、安定して運用できています。作業時間の削減量は計測していないため、数値は公表していません。
この事例では、あえて「◯時間削減」という数字を出していません。導入前の作業時間を記録していなかったためです。効果を数値で示したい企業には、導入前に1か月ほど、議事録作成にかかった時間を記録しておくことをおすすめしています。導入前後を比べられるベースラインがあれば、社内での説明もしやすくなります。
数値以外の変化としては、議事録作成が「誰かが時間を取ってやる作業」から「会議が終われば仕上がっている作業」に変わったことが挙げられます。
代表コメント:AIの間違いは、AIで減らせる
AIを業務に使うとき、「AIは間違えるから使えない」で止まるのはもったいないと考えています。間違えることを前提に、検証の仕組みまで設計すれば、任せられる範囲は大きく広がります。
CES UPが顧客企業にAI導入を支援するときも、同じ考え方をとっています。毎回同じ結果が必要な処理は、AIのその場の判断に任せず、プログラムやルールで固定する。事実確認はAIの記憶に頼らず、原本や検索で確かめる。そして、重要な出力は別のAIと人で検証する。AIの「揺らぎ」を設計で吸収することが、業務で使い続けるための条件です。
この考え方は、記帳の自動化でも同じです。会計ソフトの公式機能とClaudeを組み合わせた自社事例は、マネーフォワード×Claudeで月次決算を自動化した自社事例で紹介しています。また、AIの処理が安定しない工程をプログラムに組み替えた支援事例として、C社(中国地方・景品交換・会員制サービス)の事例もあわせてご覧ください。
今後の取り組み
この2段構えの議事録の仕組みは、自社での運用を経て、現在は顧客企業にも提供しています。
議事録の自動化は、会議の多い企業ほど効果が出やすい取り組みです。一方で、会議の録音に関するルールや、扱う情報の機密度は会社ごとに異なります。CES UPでは、使っている会議ツールやグループウェア、社内ルールに合わせて、無理のない形で仕組みを設計しています。
顧客との会議を録音・AI処理する場合は、事前に相手方の了承を得ること、入力データが学習に利用されない法人向けプランや設定を選ぶことが前提です。個人情報を含む場合は、個人情報保護委員会の「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」も確認してください。生成AI導入の全体像は、中小企業の生成AI導入 完全ガイドで解説しています。
同じ課題を持つ企業の方へ(よくある質問)
CES UP株式会社(セスアップ)は、大阪を拠点に中小企業の生成AI導入・AI研修・業務改善ツール開発を支援する会社です。「CS(顧客満足)とES(従業員満足)を共に高める」を理念に、ヒアリング起点で業務に合わせた仕組みづくりと、研修後の定着・ツール化までの伴走を行っています。