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2026.09.11
【事例】C社|景品選定と経理業務を研修中に実装しGASで安定化
※お客様のご意向により社名は仮名で掲載しています
「AIで経理を効率化したいが、毎回結果が変わるのでは困る」。経理のAI活用で多い悩みです。本記事では、中国地方の景品交換・会員制サービス企業C社で、営業の景品選定と経理の仕分け・按分をAI研修の中で実装した事例を紹介します。AIの処理が安定しなかった請求書処理をGAS(Google Apps Script)に組み替えた判断を中心に、AIに任せる部分とプログラムで固定する部分の線引きを、担当の灰藤が解説します。
- 業種・地域:景品交換・会員制サービス企業(中国地方)
- 課題:毎月の景品選定、請求書の仕分け、品番から摘要の検索、部門別の経費按分がすべて手作業
- CES UPの支援:業務実装型のAI研修で、各グループの核心業務を研修中に動く形まで実装し、月次フォローアップで定着を確認
- 結果:景品マスターDBと摘要検索・按分の仕組みを構築。AIで安定しなかった請求書処理はルールベースのGASに組み替えて運用
ご支援前の課題:営業と経理に残っていた手作業
C社では、営業と経理の両方に、毎月繰り返す手作業が残っていました。どちらも担当者の経験に頼る部分が大きく、時間をかけるほど質が上がる一方で、かけられる時間には限りがありました。
営業:毎月約30種の景品を手作業で選定
営業部門では、卸業者から届くExcelの商品リストを見ながら、毎月約30種の景品を手作業で選んでいました。ご担当者の実感として、本気で取り組むと3日ほどかかる作業だったといいます。会員の満足度に直結する業務のため、手を抜けないことが負担を大きくしていました。
経理:書式がバラバラの請求書と、手作業の按分
経理部門では、取引先ごとに書式の違う請求書を仕分け、品番から仕訳の摘要(取引内容の説明)を調べ、経費を部門別に按分する作業を手作業で行っていました。品番と摘要の対応は担当者の記憶や過去の帳簿をたどって確認しており、慣れた人でないと進めにくい状態でした。
| 部門 | 支援前の業務 | 課題 |
|---|---|---|
| 営業 | 卸業者のExcelから毎月約30種の景品を選定 | 丁寧にやるほど時間がかかる |
| 経理 | 書式がバラバラの請求書の仕分け | 取引先ごとに読み方が違う |
| 経理 | 品番から摘要を検索 | 過去の帳簿と記憶に依存 |
| 経理 | 部門別の経費按分 | 毎月同じ計算を手作業で繰り返す |
CES UPの切り口:研修の中で「動く形」まで作る
CES UPがC社で選んだのは、研修の中で各グループの核心業務を実際に動く形まで実装する進め方です。汎用的な使い方を学ぶだけでは、研修が終わった翌日に現場の業務へ戻したときに手が止まりやすいためです。
CES UPの支援メソッドでは、これを「研修中に実務を実装する」と呼んでいます。事前ヒアリングで営業・経理それぞれの「一番時間がかかっている業務」を特定し、研修の時間をその業務の仕組みづくりに充てました。研修後は月次フォローアップで、実際に使われているか、どこで止まっているかを確認しています。
実施したこと:景品マスターDB・摘要検索・按分・請求書処理
研修では、営業向けに景品マスターDBを、経理向けに摘要検索と部門別按分の仕組みを構築し、請求書処理の自動化にも取り組みました。それぞれの設計を順に紹介します。
1. 営業:景品マスターDBの構築
まず、卸業者のExcelリストをもとに、選定に必要な情報を整理した景品マスターDB(データベース)を作りました。毎月ゼロから一覧を見直すのではなく、整理済みのデータの上で候補を絞り込める状態にすることがねらいです。
2. 経理:過去の仕訳からルールを抽出して摘要を検索
品番から摘要を探す作業は、過去の仕訳データからルールを抽出し、検索できる形にしました。担当者の記憶に頼っていた対応関係を、誰でも引けるルールとして残すことが目的です。
このとき、品番が何の商品かの特定はAIの記憶に頼らず、Web検索で都度確認する手順にしました。生成AIは知らない品番でももっともらしい答えを返すことがあるためです。
3. 経理:部門別の経費按分を自動化
毎月同じ計算を繰り返していた部門別按分は、按分の基準を明文化したうえで自動計算にしました。按分の基準そのものは経理担当者が決め、計算はプログラムに任せる分担です。
4. 経理:請求書処理はAIからGASへ組み替え
請求書の仕分けは、当初AIにその場で読み取り・判断させる方法で試しました。しかし、書式の違う請求書を毎回同じ基準で処理させようとすると、結果が安定しませんでした。そこで、処理の手順をルールとして固め、ルールベースのGASに組み替えています。
GASは、Google Workspaceと連携する業務アプリを作るための開発環境で、ブラウザ上で編集してGoogleのサーバーで実行できます(出典:Google for Developers「Apps Script overview」、2026年9月時点)。スプレッドシートと組み合わせれば、同じ入力に対して毎回同じ結果を返す処理を作れます。
「AIを入れたが結果が安定しない」という段階からのご相談も受け付けています。
AI研修・生成AI顧問・ツール開発の詳細は AIソリューション事業ページ へ
AIに任せる部分とGASで固定する部分の線引き
C社の事例で最も重要なのは、毎回同じ結果が必要な処理はAIのその場処理ではなくプログラムで固定する、という線引きです。CES UPではこれを「AIの揺らぎはプログラムで固定する」というメソッドとして整理しています。
生成AIは、同じ指示でも出力が少しずつ変わることがあります。文章の下書きやアイデア出しでは長所になるこの性質が、経理の仕分けのように「毎回同じ答え」が求められる業務では弱点になります。
| 処理の種類 | 向いている担い手 | C社での例 |
|---|---|---|
| 毎回同じ結果が必要な定型処理 | GASなどのプログラム(ルールベース) | 請求書処理、部門別按分の計算 |
| ルールを見つける・整理する | 生成AI+人の確認 | 過去仕訳からのルール抽出 |
| 事実の確認 | Web検索・元データ | 品番がどの商品かの特定 |
| 候補の比較・絞り込みの補助 | 生成AI+人の判断 | 景品マスターDBからの選定 |
AIを「毎回やらせる」のではなく、AIの力を借りてルールを作り、そのルールをプログラムで回す。この考え方は、CES UP自身が記帳を自動化したマネーフォワード×Claudeの自社事例とも共通しています。
結果:現在の状況
C社では、景品マスターDB、摘要検索、部門別按分、GASによる請求書処理の仕組みが研修を通じて形になりました。研修で作ったものを月次フォローアップで確認しながら、現場での定着を進めています。
効果については、ご担当者の実感として、突合作業の時間はおおむね半分程度になったとのことです。ただし、これは作業時間を計測した数値ではありません。効果を数値で確かめるには、導入前後を同じ方法で測ることが次のステップになります。
担当コンサルタントのコメント
C社で得た一番の学びは、「AIで安定しなかった」ことは失敗ではなく、設計を見直すための情報だということです。請求書処理をAIに任せようとして結果がぶれたとき、プロンプト(AIへの指示文)を延々と調整するより、ルールを固めてプログラムに渡すほうが早く安定しました。
経理の現場では、AIに期待されるのは「賢さ」よりも「毎月同じように回ること」です。AIはルールを見つける場面や例外を相談する場面で使い、確定した処理はプログラムで固める。この分担を最初から意識すると、導入後の手戻りが大きく減ります。
もう1つ、研修の中で実務まで作ることの効果も大きいと感じています。自分たちの業務で動くものを一度作った経験があると、研修後に別の業務へ応用する発想が社内から出てきやすくなります。
今後の取り組み
研修で作った仕組みは、月次フォローアップで利用状況を確認しながら定着を追っていきます。仕組みを長く使い続けるために、C社のような取り組みで押さえておきたい次のステップは次のとおりです。
- 月次フォローアップで、使われていない仕組みと、その理由を確認する
- 請求書の新しい書式が出てきたときに、GASのルールを追加する手順を決める
- 作業時間を導入前と同じ方法で測り、効果を数値化する
AI研修を定着につなげる設計はAI研修を「やって終わり」にしない方法、研修会社の選び方と助成金の活用はAI研修の選び方と人材開発支援助成金の活用ガイドで解説しています。研修内容の詳細はAI研修のページをご覧ください。
同じ課題を持つ企業の方へ
経理や営業の定型業務にAIを入れたい企業の方から、よくいただく質問をまとめました。
CES UP株式会社 取締役CAIO。生成AIアドバイザー、生成AIコミュニティ「SHIFT AI」認定講師。中小企業・士業・福祉・教育など幅広い業種で、ヒアリング起点のAI研修と、研修後の定着・ツール化までの伴走支援を担当。「AIを使える」から「AIで自分たちの仕組みを作れる」状態をゴールに、現場の業務に合わせた設計を行っている。
CES UP株式会社は、大阪を拠点に中小企業の生成AI導入・AI研修・業務改善ツール開発を支援する会社です。
公開日:2026年9月11日/最終更新日:2026年9月11日