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2026.09.14
【事例】D社(補助金支援業)|受講者が自走し始めたAI研修の設計
AI研修を受けた社員が、研修で習った作業はこなせるのに、新しい課題には手が出ない。研修担当の方からよく聞く悩みです。
本記事では、補助金・助成金活用支援業のD社で実施したAI研修の事例を紹介します。D社が目指したのは、「AIを使える」社員ではなく、「AIで自分たちの仕組みを作れる」社員でした。CES UPは一度、研修設計を誤り、全面的に作り直しています。その経緯と、研修後に受講者が自走し始めるまでを、担当コンサルタントの灰藤が解説します。
- 業種:補助金・助成金活用支援業
- 課題:月次の請求書入力が手作業、助成金申請書類のチェックが目視、商談録画が活用されず埋もれていた
- CES UPの支援:「手作業をAIでなぞるだけ」の研修設計を全面的に作り直し、業務分解からAIでの解決策設計まで一気通貫で学ぶ研修を実施
- 結果:受講者が自発的に自動化の仕組みを作り、研修後も自走が続いている(定性的な成果)
ご支援前の課題:手作業と「埋もれた情報」が残っていた
D社の課題は、日々の定型業務に手作業が多く残っていたことと、せっかく記録した情報が活用されていなかったことでした。具体的には、次の3つです。
- 請求書の入力:毎月の請求書の入力を手作業で行っていた
- 申請書類のチェック:助成金の申請書類の確認を目視で行っていた
- 商談録画の活用:商談を録画していたが、見返されることがなく埋もれていた
いずれも生成AIで改善できる余地のある業務です。ただ、D社がCES UPに求めたのは、これらの作業を個別に効率化することだけではありませんでした。
D社が目指した姿:「AIを使える」から「AIで仕組みを作れる」へ
D社が望んでいたのは、社員がAIの操作を覚えることではなく、自分たちで業務の課題を見つけ、AIを使った仕組みを作れるようになることでした。外部に頼り続けるのではなく、社内で改善を回し続けられる状態です。
CES UPの切り口:一度作った設計を全面的に作り直した理由
結論から言うと、CES UPは最初の研修設計を途中で見直し、全面的に作り直しました。最初の設計は、D社の手作業をAIでなぞる内容が中心だったためです。
最初の設計:手作業をAIで「なぞる」研修
当初は、請求書の入力や書類チェックといった既存の手作業を、そのままAIに置き換える手順を学ぶ内容で設計していました。目の前の作業は楽になりますが、進めるうちに、これでは受講者の学びにならないと気づきました。
手順をなぞるだけでは、研修で扱った作業以外に応用が利きません。研修が終われば改善も止まり、D社が目指す「AIで自分たちの仕組みを作れる」状態には近づかないと判断しました。
作り直した設計:業務を分解し、AIでの解決策を自分で設計する研修
そこで研修を、業務を分解し、どこをAIで解決できるかを考え、解決策を設計するところまでを一気通貫で学ぶ内容に作り直しました。答えを渡すのではなく、答えの出し方を身につけてもらう設計です。
実施したこと:一気通貫の研修と、職種別・実装型の研修
作り直した研修は、土台となる一気通貫の研修に、職種別の研修と、自分で作るための研修を組み合わせた構成です。
| 研修 | 内容 | ねらい |
|---|---|---|
| 業務分解→AI解決策設計 | 自分の業務を分解し、どの工程をAIで解決できるかを考え、解決策を設計する | 研修で扱っていない課題にも応用できる考え方を身につける |
| 営業向け研修 | 失注分析などの営業業務にAIを活用する | 営業の振り返りにAIを生かす視点を身につける |
| バックオフィス向け研修 | バックオフィス業務へのAI活用を扱う | 事務の定型作業にAIを当てはめる視点を身につける |
| バイブコーディング研修 | AIと対話しながらプログラムを作る手法を学ぶ | 小さな自動化を自分の手で作れるようにする |
バイブコーディングとは、AIに自然な言葉で指示を出し、対話しながらプログラムを作っていく手法です。専門的なプログラミング経験が少ない社員でも、業務の小さな自動化を自分で作れる入口になります。
職種別に研修を分けたのは、営業とバックオフィスで抱える課題の性質が異なるためです。共通の考え方は一気通貫の研修で学び、それぞれの業務への当てはめは職種別の研修で深める形にしました。
「研修で習ったことしかできない」状態から抜け出したい方へ。自社に合った研修設計をご提案します。
結果:研修後も受講者の自走が続いている
D社では、研修後に受講者が自ら仕組みを作り、運用を続けるという変化が見られました。時間削減などの数値は計測していないため、ここでは確認できている取り組みを紹介します。
| 変化 | 内容 |
|---|---|
| 自発的な仕組みづくり | 受講者が自発的に、リード獲得を自動化するスキルを自作した |
| 商談情報の活用 | 商談の振り返りを自動で要約する仕組みを構築し、運用している |
| 研修後の継続 | 研修が終わった後も、受講者による自走が続いている |
注目したいのは、これらが研修で「作り方を教えた」ものではなく、受講者が自分で課題を見つけて作ったものである点です。特に商談振り返りの自動要約は、ご支援前に「埋もれていた」商談録画の課題に、受講者自身が答えを出した形になっています。
担当コンサルタントのコメント
D社の研修で学んだのは、研修のゴールをどこに置くかで、設計がまったく変わるということです。目の前の作業を効率化するだけなら、手順をなぞる研修でも一定の効果は出ます。しかし「自分たちで仕組みを作れる」ことをゴールにするなら、教えるべきは手順ではなく、業務を分解して解決策を考える力です。
正直に言えば、最初の設計はD社のゴールに合っていませんでした。途中で作り直す判断は簡単ではありませんが、受講者の目指す姿に近づかない研修を続けるより、早く見直すほうが結果的に全員のためになります。
研修後の自走を目指す会社には、まず「研修が終わったとき、社員に何ができるようになっていてほしいか」を言葉にすることをおすすめします。そのゴールから逆算して研修を設計することが、定着への近道です。研修を定着させる設計の全体像はAI研修の効果を定着させる方法|「やって終わり」にしない5つの設計にまとめています。
今後の取り組みと、同じ課題を持つ企業への提案
受講者が自走し始めた段階では、個人の取り組みを組織の力に変えていくことが次のテーマになります。CES UPが同じ段階の企業に一般的におすすめしているのは、次の3点です。
- 作った仕組みの共有:受講者が作った仕組みを社内で共有し、別の担当者も使えるようにする
- 運用ルールの整備:誰が管理するか、AIの出力を誰が確認するかを決めておく
- 定期的な振り返り:月1回程度、新しく作った仕組みや困りごとを持ち寄る場を設ける
研修後の定期的な振り返りの場を設けた例としては、月次フォローアップで全13部署中8部署が積極活用に至った不動産会社A社の事例も参考になります。
また、AI研修の選び方や、人材開発支援助成金を活用する際の要点はAI研修の選び方と助成金活用ガイドで解説しています。生成AI導入の全体像は中小企業の生成AI導入 完全ガイドをご覧ください。
同じ課題を持つ企業の方へ(よくある質問)
自走型のAI研修について、よくいただく質問にお答えします。
「AIで自分たちの仕組みを作れる」組織を目指したい方は、初回無料相談をご利用ください。
CES UP株式会社 取締役CAIO。生成AIアドバイザー、生成AIコミュニティ「SHIFT AI」認定講師。中小企業や団体向けに、業務のヒアリングを起点にしたAI研修の設計・講師、研修後の月次フォローアップ、GPTs・Dify・Claude等を使った業務改善ツールの開発支援を担当している。
CES UP株式会社は、大阪を拠点に中小企業の生成AI導入・AI研修・業務改善ツール開発を支援する会社です。プロフィール詳細/AIソリューション事業/AI研修/お問い合わせ