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2026.09.27
業種別 生成AI活用の取り組み8選|士業・小売・葬祭などの実例
※お客様のご意向により社名は仮名で掲載しています。
「生成AIを業務に使いたいが、自分の業種で何ができるのかイメージがわかない」。中小企業の経営者の方から、よくいただくご相談です。ChatGPTやClaudeの機能紹介を読んでも、自社の業務にどう当てはめるかまでは書かれていないことがほとんどです。
本記事では、CES UPが支援した8社の生成AI活用の取り組みを、士業・現場型ビジネス・事業会社の3つに分けて紹介します。いずれも成果の数値はまだ確認できていない「取り組み紹介」のため、数字ではなく、課題に対してどのツールをどう充てたか、業務データをどう持ち直したかという設計の考え方をお伝えします。
- 法律事務所・社労士事務所・遺品整理業・花屋/葬祭業・精肉店・事業会社など8社の生成AI活用の取り組みを紹介
- 共通するのは「ツールから選ばず、課題ごとにツールを充てる」考え方
- AIに正しく働いてもらうには、1行1タスク・取引先別など「AIが扱いやすいデータの持ち方」に直すことが近道
- 手書き書類のデジタル化は、実物を使ったデモから始めると社内の理解が進みやすい
- 継続して使う業務は、代行ではなく社内で使いこなせる状態を目指す
8つの取り組み一覧
本記事で紹介する8つの取り組みは、次のとおりです。社名はすべて仮名で、地域は地方単位までの表記としています。
| 社名(仮名) | 業種・地域 | 取り組みのテーマ |
|---|---|---|
| K法律事務所 | 法律事務所/関西 | 課題ごとにAIツールを充てる/Google Workspace移行の提案 |
| M社労士事務所 | 社会保険労務士事務所/中国地方 | 1マス複数タスクのExcelを1行1タスクに再設計 |
| O社 | 遺品整理業/関西 | 手書き見積もりの二度手間と連絡手段の分散をWorkspaceで整理 |
| T社 | 花屋・葬祭業 | 手書き領収書のAI読み取りデモ/請求書作成の属人化リスク |
| U社 | 精肉店/中国地方 | 取引先ごとに異なる単価をClaudeのプロジェクトで分けて管理 |
| Q社 | 料理研究家の事業会社 | freee×Claudeで支払一覧・請求書を自動化/Claude Code研修 |
| R社 | 事業会社 | Pythonスクリプト約50本のスキル化相談/月次アップデート伴走 |
| V社 | コンテンツ・コンサル企業 | 自社AIプラットフォームの開発保守/会員向けAIアップデート配信 |
成果の数値が確認できている事例は、別記事で1社ずつ紹介しています。全体像は「中小企業の生成AI導入 完全ガイド」をご覧ください。
士業:法律事務所・社労士事務所の取り組み
士業の生成AI活用は、「どのツールを使うか」より先に「どの業務のどんな課題を解くか」を決め、課題ごとにツールを充てることがポイントです。守秘義務や個人情報の扱いにも配慮が必要なため、ツールの選び方と運用ルールをセットで考えます。
K法律事務所(関西)|課題ごとにAIツールを充てる
業種:法律事務所/地域:関西
| 課題 | 書面の作成や判例の調査など、性質の異なる業務にAIをどう使い分けるかが課題でした。 |
| 取り組み | 課題ごとにツールを充てる考え方を提案しました。書面の下書きには、Word・ExcelなどのOffice文書の形式で出力できるChatGPTの拡張機能を、複数の判例資料を横断して調べる用途にはNotebookLM(現:Gemini Notebook)を充てる、という整理です。あわせて、事務所の情報基盤をGoogle Workspaceへ移行する提案も行いました。 |
| 設計のポイント | NotebookLMは、読み込ませた資料(ソース)のデータだけを使って回答し、回答に引用元を示す仕組みです(2026年9月時点のNotebookLMヘルプより)。判例のように「どの資料のどこに書いてあるか」が重要な調査では、出典をたどれることが実務上の安心材料になります。 |
M社労士事務所(中国地方)|1マス複数タスクのExcelを1行1タスクへ
業種:社会保険労務士事務所/地域:中国地方
| 課題 | 業務の管理に使っていたExcelのタスク表が、1つのマスに複数のタスクを書き込む形になっていました。人が見る分には成り立っていても、並べ替えや絞り込み、AIによる集計がしにくい状態です。 |
| 取り組み | タスク表を「1行に1タスク」の形に再設計しました。あわせて、労務監査で確認する項目をチェックリストの形に整理する取り組みも行いました。 |
| 設計のポイント | AIに表を読ませて集計や抜け漏れ確認をさせるには、データの形がそろっていることが前提です。1行1タスクにしておけば、担当者別・期限別の絞り込みも、AIへの「期限が近いものを挙げて」といった依頼もしやすくなります。 |
現場・店舗型ビジネス:遺品整理・花屋/葬祭・精肉店の取り組み
現場や店舗が中心のビジネスでは、手書きの書類、分散した連絡手段、取引先ごとに異なる条件といった「紙と記憶に頼った業務」がAI活用の入り口になります。
O社(関西・遺品整理業)|手書き見積もりの二度手間をなくす
業種:遺品整理業/地域:関西
| 課題 | 現地で手書きした見積もりを、事務所に戻ってから改めて入力し直す二度手間が発生していました。また、連絡手段が複数に分かれ、情報がどこにあるか分かりにくくなっていました。 |
| 取り組み | Google Workspaceを軸に、現場と事務所の情報をつなぐ活用パターンを8つに整理して提案しました。 |
| 設計のポイント | ツールを一つ入れて終わりにせず、「現地での見積もり」「社内の連絡」など業務の場面ごとに使い方をパターン化したことです。場面ごとに使い方が決まっていると、現場のスタッフも迷わずに使えます。 |
T社(花屋・葬祭業)|手書き領収書のAI読み取りデモから
業種:花屋・葬祭業
| 課題 | 手書きの領収書が多く、内容の転記に手間がかかっていました。また、請求書の作成が特定の担当者に依存しており、その方が不在になると業務が止まるリスクがありました。 |
| 取り組み | 実際の手書き領収書をAIで読み取るデモ(OCR:画像から文字を読み取る技術)を行ったところから、提案が始まりました。あわせて、請求書作成の属人化によるリスクを整理してお伝えしました。 |
| 設計のポイント | 抽象的な説明ではなく、「自社の書類がその場で読み取れる」ことを見ていただいたことで、AI活用の具体的なイメージを共有できました。 |
U社(中国地方・精肉店)|取引先ごとの単価を「プロジェクト」で分ける
業種:精肉店/地域:中国地方
| 課題 | 取引先ごとに単価が異なり、見積もりや請求の際に取引先ごとの単価を正しく参照する必要がありました。 |
| 取り組み | Claudeの「プロジェクト」機能を取引先ごとに分け、それぞれのプロジェクトにその取引先の単価表を登録する設計にしました。 |
| 設計のポイント | 一つのチャットにすべての取引先の単価を入れると、AIが別の取引先の単価を参照してしまうおそれがあります。取引先ごとにプロジェクトを分けておけば、参照する単価表が一つに限定されます。Claudeのプロジェクトは、資料をアップロードできる「ナレッジ」と、プロジェクトごとの指示を設定できる機能で、2026年9月時点で無料アカウントでも利用でき、無料プランで作成できるのは5つまでと案内されています。 |
「自社の業種だと、どの業務からAIを使えるか」を一緒に整理しませんか。初回無料相談で、業務の棚卸しからご相談いただけます。
事業会社・コンテンツ企業:自分で使いこなすための取り組み
すでにAIやプログラムを業務で使い始めている会社では、「作業を代行してもらう」のではなく「自社で使いこなし、手直しできる」状態をつくる支援が中心になります。
Q社(料理研究家の事業会社)|freee×Claudeで支払一覧・請求書を自動化
業種:料理研究家の事業会社
| 課題 | 支払一覧の作成や請求書の作成といった経理まわりの作業に手間がかかっていました。 |
| 取り組み | 会計ソフトのfreeeにClaudeを接続し、支払一覧と請求書の作成を自動化する仕組みを組み、実演で動作を確認しました。あわせて、作業を代行するのではなく「自分で使いこなす」ためのClaude Code研修を行いました。 |
| 設計のポイント | freeeは2026年9月時点で、AIアシスタントから会計・請求書など複数のfreeeサービスを操作できる「freee-mcp(リモート版)」をβ版として公開し、Claudeからの接続手順を公式ヘルプで案内しています。Claude Codeは、ファイルの編集やコマンドの実行などを行えるAnthropicのエージェント型ツールで、ターミナルやデスクトップアプリ、ブラウザから使えます(2026年9月時点の公式ドキュメントより)。 |
R社(事業会社)|Pythonスクリプト約50本の「スキル化」相談
業種:事業会社
| 課題 | 業務用に作ったPythonスクリプトが約50本あり、それぞれをどう管理し、AIから使える形にするかが課題でした。 |
| 取り組み | スクリプトをAIが呼び出して使える「スキル」として整理する相談に対応しました。伴走の形式は、毎月のAIアップデートの解説と、その場でのデモを組み合わせたものです。 |
| 設計のポイント | AIツールの機能は毎月のように更新されます。月次で「何が変わったか」を解説し、その場で自社の業務に当てはめたデモを見せることで、新機能を自社の仕組みに取り入れる判断がしやすくなります。 |
V社(コンテンツ・コンサル企業)|自社AIプラットフォームの開発保守
業種:コンテンツ・コンサル企業
| 課題 | 自社のサービスとして提供するAIプラットフォームを、継続的に開発・保守していく体制が必要でした。 |
| 取り組み | CES UPがV社のAIプラットフォームの開発保守を支援しています。あわせて、V社の会員向けにAIの最新動向を伝えるアップデート配信を支援しています。 |
| 設計のポイント | AIを使ったサービスは、基盤となるAIモデルやツールの更新に合わせて手直しが続きます。開発と情報発信を同じチームが担うことで、最新動向をサービス改善に反映しやすくなります。 |
8つの取り組みに共通する4つの考え方
業種はばらばらでも、8つの取り組みには共通する考え方があります。いずれもCES UPの支援メソッドに沿ったものです。
| 考え方 | 内容 | 該当する取り組み |
|---|---|---|
| 1. 課題ごとにツールを充てる | 「どのAIを入れるか」から考えず、業務の課題ごとに最適なツールを選ぶ | K法律事務所、Q社 |
| 2. AIが扱いやすいデータの持ち方に直す | 1行1タスク、取引先別の単価表など、情報の形をそろえてからAIに渡す | M社労士事務所、U社 |
| 3. 手書き・分散を入り口にする | 手書き書類の転記や連絡手段の分散など、見えやすい手間から着手する | O社、T社 |
| 4. 代行ではなく自走を目指す | 研修や月次伴走で、自社で使いこなし手直しできる状態をつくる | Q社、R社、V社 |
特に2つ目の「データの持ち方」は見落とされがちです。AIの精度が上がらない原因が、AIではなく元の表や資料の形にあることは少なくありません。
自社で生成AI活用を始める5つのステップ
自社で取り組みを始めるときは、次の5つのステップで進めると、ツール選びで迷いにくくなります。
よくある質問
まとめ
生成AIの活用は、業種によって入り口が違って見えても、課題を具体的にし、データの持ち方を整え、課題ごとにツールを充て、自社で使いこなすという流れは共通しています。今回紹介した8つの取り組みは、いずれも成果の数値を確認する前の段階ですが、設計の考え方は他の業種にも応用できます。
「自社の業種では何から始めればよいか」を整理したい方は、CES UPの初回無料相談をご利用ください。業務の棚卸しから、ツールの選定、研修、定着までを一緒に考えます。
中小企業を中心に、生成AIの導入支援・AI研修・業務改善ツールの設計を担当。研修は事前ヒアリングで受講企業の業務に合わせてカスタマイズし、Zoomによるリアルタイム講義と月次フォローアップで現場への定着まで伴走している。不動産・士業・教育・保育福祉・婚礼・旅館飲食・医療など、幅広い業種のAI活用を支援。 プロフィール詳細
CES UP株式会社(セスアップ)は、大阪を拠点に中小企業の生成AI導入・AI研修・業務改善ツール開発を支援する会社です。CS(顧客満足)とES(従業員満足)を共に高める「気持ちよく機能する仕組みづくり」を理念に、生成AI顧問・AI研修・ツール開発を提供しています。AIソリューション事業/お問い合わせ