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2026.09.23

【事例】N保育園(関西)|3段階のAI化と勤怠見直しで月3万円削減

保育園の業務をAIで即活用・軽い仕組み・データ基盤の3段階に分類した図(N保育園の事例)

※お客様のご意向により社名は仮名で掲載しています

この記事を書いた人:灰藤 健吾(CES UP株式会社 取締役CAIO/生成AIアドバイザー/生成AIコミュニティ「SHIFT AI」認定講師)
公開日・最終更新日:2026年9月23日

保育園でもAIを使いたいけれど、何から手をつければよいか分からない。新しいツールを入れる予算も限られている。こうした声は保育・福祉の現場で少なくありません。

本記事では、関西のN保育園で、CES UPが業務を3段階に分類してAI化の順番を決め、勤怠の集計方法を見直して月3万円のコスト削減につなげた事例を紹介します。あわせて、非営利団体向けのGoogle Workspaceを検討する際の注意点も解説します。担当はCES UP取締役で生成AIアドバイザーの灰藤 健吾です。

この事例の要点(結論)
  • 業種・地域:保育園(関西)
  • 課題:AIをどの業務から使うかの優先順位づけと、ツール費用の負担
  • CES UPの支援:業務を「AIで即活用」「軽い仕組みが必要」「データ基盤が先」の3段階に分類。勤怠集計の見直しと、非営利向けGoogle Workspaceの提案
  • 結果(実測):月約3万円の勤怠ソフトを解約し、打刻のみ残してExcel+AI集計に切り替え、月3万円のコストを削減

ご支援前の課題:どこからAIを使うか、ツール費用をどう抑えるか

N保育園の課題は、AIをどの業務から使い始めるかという優先順位づけと、ツールにかかる費用の負担でした。現場の業務は幅広いため、すべてを一度にAI化しようとすると、どこから手をつけるべきか判断できなくなります。

費用面では、勤怠管理に月約3万円のソフトを使っていました。保育園にとって毎月の固定費は小さくありません。AIを導入するなら、新たな費用を足すだけでなく、今かかっている費用を見直す視点も欠かせないと考えました。

N保育園 支援の全体像課題:どの業務からAIを使うかの優先順位とツール費用の負担。切り口:業務を3段階に分類し費用のハードルも下げる。解決:勤怠ソフトを解約し打刻のみ残してExcelとAIで集計。結果(実測):月3万円のコスト削減。N保育園 支援の全体像課題どの業務からAIを使うかの優先順位とツール費用の負担切り口業務を3段階に分類し、費用のハードルも下げる解決勤怠ソフトを解約し打刻のみ残してExcel+AI集計へ結果(実測)¥月3万円のコスト削減
図1 N保育園の支援の全体像(課題→切り口→解決→結果)

CES UPの切り口:業務を3段階に分類し、費用のハードルも下げる

CES UPの切り口は、業務を3段階に分類して着手の順番を決めることと、ツール費用のハードルを下げることの2つです。どちらもCES UPの支援メソッドとして、他の支援先でも活用している考え方です。

業務を3段階に分類する

業務を「AIで即活用できる」「軽い仕組みが必要」「データ基盤の整備が先」の3つに分けると、すぐに成果が出るものから順に着手できます。逆に、データ基盤が整っていない業務にいきなりAIを入れても、効果が出にくく現場の負担だけが増えてしまいます。

業務を3段階に分類して着手の順番を決める1 AIで即活用できる:今の業務のままAIに頼めば手間が減る(例:お知らせ・掲示文の下書き、文章の言い換えや要約)。2 軽い仕組みが必要:Excelやテンプレートなどと組み合わせる(例:集計作業、定型書類の作成)。3 データ基盤の整備が先:情報がバラバラでAIに渡す前に整理が必要(例:情報共有ツールの一元化、記録のデジタル化)。業務を3段階に分類して着手の順番を決める1AIで即活用できる今の業務のまま、AIに頼めば手間が減る例(一般例)お知らせ・掲示文の下書き文章の言い換えや要約2軽い仕組みが必要Excelやテンプレートなどと組み合わせる例(一般例)集計作業定型書類の作成3データ基盤の整備が先情報がバラバラでAIに渡す前に整理が必要例(一般例)情報共有ツールの一元化記録のデジタル化すぐ成果が出るものから順に着手 →
図2 業務の3段階分類(例は保育・福祉の現場で考えられる一般例で、N保育園で分類した業務の一覧ではありません)

費用のハードルを下げる

もう1つの軸は、不要なツールの見直しや非営利向けの無償・割引プランの活用など、ツール費用の最適化まで含めて提案することです。AI活用は「新しく何かを買う」ことだと思われがちですが、今ある費用を減らす方向からも始められます。

実施したこと:3段階の分類・勤怠集計の見直し・無償プランの提案

N保育園で実施したことは、業務の3段階分類、勤怠集計の見直し、非営利向けGoogle Workspaceの提案の3つです。

1. 業務を3段階に分類

まず現場の業務を洗い出し、上の3段階に振り分けました。これにより、すぐに手をつける業務と、仕組みや基盤の整備を先に進める業務を分けて考えられるようになりました。

2. 勤怠ソフトを解約し、Excel+AI集計へ

月約3万円かかっていた勤怠ソフトを解約し、打刻の仕組みだけを残して、集計はExcelとAIで行う形に切り替えました。多機能なソフトの機能をすべて使っているとは限らず、必要な部分だけを残せば費用を大きく抑えられる場合があります。

勤怠の仕組みの見直し見直し前は月約3万円の勤怠ソフトで打刻と集計を実施。見直し後は打刻の仕組みだけを残し、集計はExcelとAIで行う形に切り替え、月3万円のコスト削減(実測)。勤怠の仕組みの見直し見直し前勤怠ソフト(月約3万円)打刻も集計も勤怠ソフトで実施毎月、月約3万円の固定費がかかる見直し後打刻のみ残してExcel+AI集計✓打刻の仕組みだけを残す✓集計はExcelとAIで行う✓月3万円のコスト削減(実測)
図3 勤怠の仕組みの見直し(打刻は残し、集計部分をExcel+AIに切り替え)

3. Google Workspace for Nonprofitsの提案

情報共有や書類作成の基盤として、非営利団体向けのGoogle Workspaceを提案しました。ただし、このプログラムは誰でも使えるわけではなく、保育園が必ず対象になるとは限りません。2026年9月時点で公式情報を確認した内容は次のとおりです。

Google Workspace for Nonprofitsの概要(2026年9月時点・Google公式情報より)
  • 参加資格:対象の国・地域で慈善団体として登録され、審査パートナー(Goodstack)による非営利団体の認定を受けていることなどが条件(Google for Nonprofits 資格に関するガイドライン)
  • 対象外の団体:政府事業体や政府機関、病院や医療団体、学校・学術機関・大学(それぞれ関連する慈善部門などは例外あり)
  • 料金:Google Workspace for Nonprofitsは1ユーザーあたり月額0円。上位プランのBusiness Standardは1ユーザーあたり月額400円(1年契約の場合)などの割引料金(Google Workspace の非営利団体向け特典)

保育園が対象になるかどうかは、運営法人の形態や国ごとの要件、審査の結果によって異なります。申請前に必ず公式の参加資格をご確認ください。

「どの業務からAIを使えばいいか分からない」「ツール費用を見直したい」という保育園・福祉施設の方は、業務の整理からご一緒します。

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結果:勤怠ソフトの見直しで月3万円のコスト削減(実測)

実測で確認できた成果は、勤怠ソフトの見直しによる月3万円のコスト削減です。単純計算で年間約36万円に相当し、新しいツールを買い足すことなく固定費を下げられました。

なお、導入前に行った試算では、年間5,506時間の業務時間削減が見込まれていました。ただしこれはあくまで導入前の試算値であり、実際に削減できた時間ではありません。現時点で実測として確認できているのは、月3万円のコスト削減のみです。

実測と試算を分けて扱う実測:勤怠ソフトの見直しにより月3万円のコスト削減(単純計算で年間約36万円に相当)。試算(導入前):年間5,506時間の業務時間削減を見込んだ試算値であり、実際の削減時間ではない。実測と試算を分けて扱う実測勤怠ソフトの見直しによる成果¥月3万円のコスト削減単純計算で年間約36万円に相当試算(導入前)年間5,506時間の業務時間削減を見込んだ試算値※実際の削減時間ではありません
図4 本事例の数値の扱い(実測は月3万円のコスト削減のみ。年間5,506時間は導入前の試算)
本記事では、実測値(月3万円のコスト削減)と導入前の試算値(年間5,506時間)を区別して記載しています。時間削減の効果が実測で確認でき次第、本記事に追記します。

担当コンサルタントのコメント

保育園のAI活用で大切なのは、「全部をAI化しよう」としないことです。3段階に分けてみると、今すぐAIに任せられる業務と、先に情報の整理が必要な業務がはっきり分かれます。順番を間違えなければ、少ない負担で成果を積み上げられます。

もう1つは、費用の見直しをAI活用とセットで考えることです。N保育園の月3万円の削減は、AIの機能そのものより「使っている機能だけを残す」という判断から生まれました。予算に余裕がない現場ほど、この視点が効いてきます。

また、非営利向けの無償プランは魅力的ですが、対象になるかどうかは団体ごとに異なります。「保育園なら無料で使える」と思い込まず、公式の参加資格を確認してから計画を立てることをおすすめします。

今後の取り組み

CES UPとしては、3段階のうち「軽い仕組みが必要」「データ基盤が先」に分類した業務について、情報基盤の整備とあわせて段階的に取り組むことを提案しています。試算で見込んだ時間削減が実際にどの程度実現したかは、取り組みが進んだ段階で計測し、本記事に追記する予定です。

保育・福祉の現場で、まず職員全体のAI活用状況を測ってから優先順位をつけた取り組みは、社会福祉法人Fの事例で紹介しています。

同じ課題を持つ保育園・施設の方へ(よくある質問)

保育園・福祉施設の方からよくいただく質問にお答えします。

Q. 保育園でも生成AIは業務に使えますか?
A. 使えます。お知らせ文の下書きや文章の言い換えなど、すぐに使える業務もあれば、仕組みやデータの整備が先に必要な業務もあります。N保育園では業務を3段階に分けて、着手する順番を決めました。
Q. 保育園はGoogle Workspace for Nonprofitsを無料で使えますか?
A. 必ず使えるとは限りません。Google for Nonprofitsの参加資格では、各国で慈善団体として登録されていることや審査パートナーによる認定などが求められ、学校・教育機関などは対象外とされています(2026年9月時点)。運営法人の形態などによって判断が分かれるため、申請前に公式の参加資格を確認してください。
Q. 園児や保護者の個人情報をAIに入力しても大丈夫ですか?
A. 個人が特定できる情報は、原則としてAIに入力しない運用をおすすめします。どのツールに何を入力してよいかを事前にルール化し、職員全員で共有してから使い始めることが大切です。
Q. 勤怠ソフトを解約しても、勤怠管理は問題ありませんか?
A. N保育園では、打刻の仕組みは残したうえで、集計部分だけをExcelとAIに切り替えました。労働時間の記録の扱いなど法令に関わる点は、顧問の社会保険労務士などの専門家に確認したうえで見直すことをおすすめします。
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著者プロフィール
CES UP株式会社 取締役CAIO/生成AIアドバイザー/生成AIコミュニティ「SHIFT AI」認定講師

CES UP株式会社 取締役CAIO。生成AIアドバイザー、生成AIコミュニティ「SHIFT AI」認定講師として、中小企業向けのAI研修(事前ヒアリングで業務に合わせてカスタマイズするZoomのリアルタイム講義)、生成AI顧問、業務改善ツール開発の支援に携わる。研修で終わらせず、現場での定着・ツール化まで伴走することを重視している。

CES UP株式会社(セスアップ)は、大阪を拠点に中小企業の生成AI導入・AI研修・業務改善ツール開発を支援する会社です。CS(顧客満足)とES(従業員満足)を共に高める「気持ちよく機能する仕組みをつくる」を理念としています。



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