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2026.09.20
【事例】H社(旅館・飲食業)|シフト作成の属人化をGASで段階的に解消
※お客様のご意向により社名は仮名で掲載しています
旅館・飲食業では、シフト作成が「あの人にしか組めない」業務になりやすいものです。本記事では、中国地方で旅館・飲食業を営むH社において、CES UPがGoogle Apps Script(GAS)製のシフト自動作成Webアプリを開発・納品した事例を紹介します。
ポイントは、現場で使い慣れたExcel運用をいきなり変えず、データの正本を1つにそろえながら段階的に仕組み化した進め方です。シフト作成の属人化に悩む経営者・管理職の方に向けて、CES UP取締役で生成AIアドバイザーの灰藤 健吾が解説します。
- 業種・地域:旅館・飲食業(中国地方)
- 課題:シフト作成が特定の担当者の経験に依存し、属人化していた
- CES UPの支援:現場のExcel運用を残したまま、データの正本をスプレッドシート1つに統一し、GAS製のシフト自動作成Webアプリを開発・納品
- 現在の状況:現場からの改善要望21項目のうち20項目を「実現可能」と判定し、順次対応中
ご支援前の課題:シフト作成が特定の担当者に属人化していた
H社の課題は、シフト作成が特定の担当者の経験に依存しており、その人でなければ組めない状態になっていたことです。いわゆる「属人化」で、担当者の不在や退職がそのまま業務停止のリスクになります。
一般に旅館・飲食業では、チェックインや食事の提供、清掃など、時間帯によって必要な人手が変わります。そこにスタッフ一人ひとりの勤務条件や希望が重なるため、シフト作成は多くの条件を頭の中で組み合わせる作業になりがちです。
慣れた担当者ほど速く組めますが、その判断基準は言葉やルールとして残りにくいものです。そのため「引き継ごうにも、何を引き継げばよいか分からない」という状態が生まれます。
CES UPの切り口:なぜExcel運用を残したまま進めたのか
結論から言うと、CES UPは「現場の運用をいきなり変えない」ことを最優先にしました。これはCES UPの支援メソッドの1つで、既存のExcel運用を残しつつデータの正本を1つに統一し、段階的に置き換えていく考え方です。
新しいシステムに一度に切り替えると、操作を覚える負担が現場に集中します。繁忙期と重なれば「結局、前のやり方に戻る」ことも珍しくありません。H社ではその事態を避けるため、現場のExcel運用はすぐには廃止せず、並行してデータの正本をスプレッドシート1つに集約する方針を取りました。
もう1つの判断軸は、「毎回同じ結果が必要な処理は、AIのその場の判断ではなくプログラムで固定する」ことです。シフトは同じ条件なら同じ結果になるべき処理のため、H社ではルールベースで動くGASを採用しました。同じ考え方で請求書処理をGASに組み替えた事例は、C社(景品交換・会員制サービス)の事例で紹介しています。
実施したこと:正本の統一とGAS製Webアプリの段階的な改善
実施したことは、データの正本の統一、GAS製Webアプリの開発・納品、改善要望の判定と段階的な対応の3つです。進めた順番は次のとおりです。
- データの正本をスプレッドシート1つに統一:シフト作成に必要な情報の置き場所を1つに決め、以降の自動化はすべてここを基準にしました。
- GAS製のシフト自動作成Webアプリを開発・納品:正本のスプレッドシートを土台に、シフトを自動作成するWebアプリを構築しました。
- 改善要望の洗い出しと実現可否の判定:現場から出た改善要望21項目を1つずつ確認し、実現できるかどうかを判定しました。
- 実現可能な項目から段階的に対応:一度にすべてを変えず、優先度をつけて順に反映しています。
使ったツールと役割
| ツール | 役割 |
|---|---|
| Googleスプレッドシート | シフト作成に必要なデータの正本 |
| Google Apps Script(GAS) | シフト自動作成のロジックとWebアプリ |
| 既存のExcel運用 | 移行期間中も現場の業務を止めないための並行運用 |
Google公式ドキュメントでは、Apps ScriptはGoogle Workspaceと連携する業務アプリを素早く構築するための開発プラットフォームで、Webアプリとして公開することもできると説明されています(2026年9月時点、Google Apps Script 概要)。スプレッドシートと同じ環境で動くため、データの置き場所を増やさずに仕組み化できる点が、今回の方針に合っていました。
「シフト作成が特定の人に頼りきり」「Excelのまま仕組み化できないか」とお考えの方は、現状の運用を伺ったうえで進め方をご提案します。
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結果:改善要望21項目中20項目を「実現可能」と判定し対応中
本記事の公開時点で、H社では現場から出た改善要望21項目のうち20項目を「実現可能」と判定し、順次対応を進めています。一方で、作業時間の削減などの定量的な効果はまだ計測していないため、本記事では数値を記載していません。
次の段階として、宿泊人数から必要な人員数を自動で算出する機能を予定しています。算出の基準となる計算式をH社と整理したうえで、ツールに組み込む計画です。
担当コンサルタントのコメント
シフト作成の属人化を解消するときに最初にやるべきことは、ツールを作ることよりも「データの正本を1つに決めること」だと考えています。正本が複数あると、どれだけ良いツールを作っても、どのデータが正しいのかで現場が迷ってしまうからです。
また、現場からの要望はすべて受け入れるのではなく、実現できるかどうかを1つずつ判定して共有することを大切にしています。H社でも要望を一覧にして判定したことで、どの要望にどう対応するのかを現場と共有しながら進められています。
同業の方へのアドバイスとしては、まず今のシフト作成で使っている条件を紙1枚に書き出してみてください。担当者の頭の中にある判断基準が言葉になれば、それだけで引き継ぎやすくなり、自動化の設計にもそのまま使えます。
今後の取り組み
今後は、残りの改善要望への対応と、宿泊人数からの必要人員の自動算出機能の組み込みを進めます。あわせてCES UPとしては、Excelとの並行運用から、正本のスプレッドシートとWebアプリを中心とした運用へ、現場のペースに合わせて段階的に移行していくことを想定しています。
運用が安定した段階で、シフト作成にかかる時間などの効果を計測し、結果を本記事に追記する予定です。
同じ課題を持つ企業の方へ(よくある質問)
シフト作成の自動化について、よくいただく質問にお答えします。
CES UP株式会社 取締役CAIO。生成AIアドバイザー、生成AIコミュニティ「SHIFT AI」認定講師として、中小企業向けのAI研修(事前ヒアリングで業務に合わせてカスタマイズするZoomのリアルタイム講義)、生成AI顧問、業務改善ツール開発の支援に携わる。研修で終わらせず、現場での定着・ツール化まで伴走することを重視している。
CES UP株式会社(セスアップ)は、大阪を拠点に中小企業の生成AI導入・AI研修・業務改善ツール開発を支援する会社です。CS(顧客満足)とES(従業員満足)を共に高める「気持ちよく機能する仕組みをつくる」を理念としています。