#導入事例・セミナー報告
2026.10.06
【射水市】経営者向けAI活用講座レポート|満足度4.7と参加者の声
「AIを入れたいが、自社のどこに使えばいいのか分からない」。経営者の方から最も多くいただくご相談です。2026年9月29日、富山県射水市の学習交流スペース MOKUMOKU で、経営者・役員向けのAI活用講座「AIで会社の利益“も”上げる」を開催しました。
この記事では、講師を務めた灰藤が、当日お伝えした内容と、参加者アンケート(回答10名)の結果を報告します。同じテーマのセミナーや社内研修を検討している方は、内容と反応の目安としてご覧ください。
- 2026年9月29日、射水市の MOKUMOKU で経営者・役員向けAI活用講座(2時間・参加無料)を開催
- テーマは「AIで事業の回転率を上げる」。業務をタスクに分解し、詰まっている箇所にだけAIを当てる考え方を、ワーク形式で実践
- アンケート回答10名の満足度は5点満点で平均4.7。「5」が8名、「4」が1名、「3」が1名
- 反応が大きかったのは「AIに質問させて、自分の業務を整理する」プロンプト
- 「プロンプトが長く、その場で入力しづらい」というご指摘もあり、配布方法を見直します
開催概要
今回の講座は、射水市の経営者・役員の方を対象にした、2時間・参加無料の対面セミナーです。前半で考え方と事例を紹介し、後半は参加者ご自身がAIを操作するワークにあてました。
| 講座名 | AIで会社の利益“も”上げる AI活用講座 |
| 日時 | 2026年9月29日(火)16:00〜18:00 |
| 会場 | 射水市学習交流スペース MOKUMOKU(富山県射水市三ケ2602番地 アル・プラザ小杉2階) |
| 対象 | 射水市の経営者・役員(定員20名) |
| 参加費 | 無料 |
| 主催/共催 | 主催:射水市学習交流スペース MOKUMOKU/共催:Switch IMIZU(射水市ビジネス支援センター) |
| 講師 | CES UP株式会社 取締役CAIO 灰藤 健吾 |
| 事前準備 | ChatGPT または Gemini の無料登録。ノートパソコン推奨(スマートフォンでも参加可) |
講座で伝えたこと:AIは「代行」ではなく「思考の加速」に使う
講座の結論は、AIの価値は仕事の丸投げ(代行)ではなく、迷う時間・詰まる時間を短くすること(思考の加速)にある、という点です。そのため、ツールの使い方より先に「業務の分解」から始めました。
冒頭で投げかけた問いは「今の事業、AIを使ってあと2倍の件数をさばけますか?」です。同じ時間でさばける件数を、当日は「回転率」と呼びました。
AIを当てるのは「業務」ではなく「タスク」
AIが結びつくのは、名前のついた大きな仕事(業務)ではなく、それを分解した1つ1つの作業(タスク)です。たとえば「見積対応」という業務は、「金額を計算する」「文面を作る」「送付する」の3つのタスクに分かれます。
当日は「カレーライスを作る」を例にしました。材料を切る・煮る、米を洗う・炊く、の4つに分けると、フードプロセッサー・圧力鍋・炊飯器と、作業ごとに合う道具が決まります。全部を機械に任せるのではなく、向いている作業だけ任せる。AIも同じ発想で当てていきます。
使う前に押さえる3つのルール
業務でAIを使う前に、ハルシネーション(AIがもっともらしい誤りを答える現象)・情報漏洩・著作権の3点を確認しました。
| ルール | 起こりうること | 対策 |
|---|---|---|
| ハルシネーション | 実在しない数字・URL・法律・判例を、自信たっぷりに出すことがある | 数字・固有名詞・条文は、必ず原典で確かめる |
| 情報漏洩 | アカウントが乗っ取られ、履歴に残った入力内容が漏れる | パスワードを使い回さず、二段階認証をオンにする。機密・個人情報を入力した履歴は残さない |
| 著作権 | 他人の著作物に似た生成物を公開・業務利用してしまう | 「類似性」と「依拠性」の2つの軸で判断する。他人の著作物をAIに入力して作らせない |
著作権は3問のクイズで考えました。作品名を指定しなくても特定のキャラクターを容易に連想できる画像や、既存キャラクターの画像を入力して作った画像は、侵害になる可能性が高いと考えられます。一方、特定の人物や作品を指定せず、既存の作品も入力していない場合の偶然の類似は、依拠性が認められにくくなります(発覚後の対応は必要です)。
判断の考え方は、文化庁が公表している「AIと著作権に関する考え方について」(令和6年3月15日)に整理されています。個別のケースは、専門家にご確認ください。
事例:ある士業事務所では、書面づくりの詰まりを外した
当日は、ある士業事務所(地域・規模は非公開)の事例を紹介しました。案件の流れを「相談・聞き取り→記録→整理・調査→書面の作成→確認・提出」に分解して負荷を並べたところ、詰まりは「手書きメモのデータ化」と「初稿づくり・修正」に集まっていました。
そこで、手書きメモをAIで読み取る運用と、AIへの修正指示のパターン化の2点だけを変えました。AIに任せるのは下書きまでとし、条文・判例の確認と提出前のチェックは専門家自身が行っています。
当社自身も同じ考え方で、会計データ入力(月20〜30時間→月1時間以内)や会議議事録の作成を自動化しています。詳しくは月次決算自動化の自社事例と議事録の自社事例をご覧ください。
回転率は「所要時間」と「転換率」で考える
回転率を上げる方法は、各ステージの所要時間を削るか、次のステージへの転換率を上げるかの2つです。講座では、次の架空の例(個人向けサービス業・一人社長・月間)で、どこが詰まっているかを確認しました。
| ステージ | 件数 | 次への転換率 | 1件あたりの所要時間 |
|---|---|---|---|
| 問い合わせ | 20件 | 50% | 対応5分 |
| 初回面談 | 10件 | 80% | 日程調整15分 |
| 見積提出 | 8件 | 50% | 見積作成60分(最も時間がかかる) |
| 契約 | 4件 | — | 契約書作成30分 |
※講座用の架空の数字です。
この例では、1件60分かかる見積作成が最大の詰まりです。型(テンプレート)を決めてAIに下書きを作らせ、人が仕上げる形にすれば、15分程度まで縮められる見込みがあります。全部をAI化するのではなく、詰まっている箇所から手をつけます。
ワーク:AIに質問させて、自社の詰まりを1つ見つける
後半のワークでは、参加者が自分の事業について、AIからの質問に答えながら業務の流れを表にし、詰まりを1つに絞りました。プロンプト(AIへの指示文)は「目的・成果物・前提条件」の3つを書くのが基本です。
「見積書を作って」とだけ頼むと、どこにでもある一般的なひな形が返ってきます。3つを書いたうえで、詳しい状況はAIの側から質問させるのが今回のポイントです。当日使ったプロンプトは次のとおりです。
目的:自分の仕事の流れを分解して、一番詰まっている所を1つ見つけたい
成果物:問い合わせ〜契約までの流れの表(件数・所要時間つき)と、詰まっている所1つ+理由
前提条件:私は〇〇(業種)をしています。詳しい状況は、あなたが質問して聞き出してください。1回3問まで、私が答えてから次へ進めてください。
これを必要な情報が集まるまで繰り返して、情報が集まったら、成果物を作成してください。
続くワーク2では、見つけた詰まりに対して解決の案をAIに3つ出させ、1週間以内に試せるものを1つ選び、最初の1アクションまで具体化しました。「もっと手間の少ない案にして」「今日30分でできる形に分けて」と追加で頼むと、実行しやすい形に近づきます。
参加者アンケートの結果は?
終了後のアンケートには10名の方にご回答いただき、講座全体の満足度は5点満点で平均4.7でした。内訳は「5」が8名、「4」が1名、「3」が1名です。
| 項目 | 結果(回答10名) |
|---|---|
| 講座全体の満足度 | 平均4.7(5点:8名/4点:1名/3点:1名) |
| 期待していたことへの満足度 | とても満足:6名/満足:3名/普通:1名 |
| 回答者の事業規模 | 1人(代表のみ):6名/2〜10人:2名/11〜50人:2名 |
| 無料のAI活用診断 | 「ぜひお願いしたい」:4名 |
回答者の業種は、卸売業、製造業、飲食・サービス業、士業、コンサルティング、企画・デザインなどで、10名中6名が一人で事業を営む方でした。
参加者の声
※匿名で、業種と立場のみ記載しています。明らかな誤字のみ整えています。
「今日から何に取り組みますか」という質問には、「タスク分解とボトルネック把握」「業務とタスクの可視化と、プロンプトの精度上げ」「仕組み化」「課題で提案されたことを実装」といった回答がありました。
アンケートから見えたことと、次回への改善点
最も反応が大きかったのは、機能の紹介ではなく「AIに質問させる」という使い方でした。「思ってもみなかった発見」の欄では、10名中3名がAIとの質問のやり取りや深掘りを挙げています。
AIを「答えを出す道具」と捉えていると、何を聞けばよいかで手が止まります。AIの側から質問させれば、自分の業務を言葉にするところから始められます。初めての方が最初につまずく場面を越えやすい方法だと、今回のアンケートで改めて確認できました。
一方で、改善すべき点もいただきました。
- プロンプトが長く、その場で入力するにはハードルが高い:コピーして貼り付けられる形で事前に配布するなど、渡し方を見直します。
- 会場の周囲の音が気になった:商業施設内の開かれたスペースでの開催でした。会場の条件に合わせた進行を検討します。
- AIの最新情報を期待していた:今回は「考え方とワーク」を中心にした構成でした。告知の段階で、扱う内容と扱わない内容をより明確にお伝えします。
セミナーは入り口です。1回の受講で終わらせず、決めた「最初の一手」を1週間試し、続けて業務に組み込むところまで進めて初めて成果になります。研修後の定着については「AI研修の効果を定着させる方法」で詳しく解説しています。
よくある質問
Q. AIをほとんど使ったことがなくても参加できますか?
A. 参加できます。今回の事前準備は、ChatGPT または Gemini の無料登録だけでした。ワークは配布したプロンプトを入力し、AIからの質問に答えていく形式のため、操作に慣れていない方でも進められます。
Q. どのような業種・規模の会社に向いていますか?
A. 業種は問いません。今回は卸売業、製造業、飲食・サービス業、士業、コンサルティングなどの方が参加され、回答者10名中6名が一人で事業を営む方、2名が11〜50人規模の会社の代表でした。自社の業務の流れを題材にするため、規模にかかわらず取り組めます。
Q. 自社や所属団体で、同じセミナーを開催してもらえますか?
A. 開催できます。CES UPでは、商工団体・自治体・企業向けの講演やセミナーを承っています。対象者や時間に合わせて内容を調整しますので、講演・セミナーのページまたはお問い合わせフォームからご相談ください。
Q. セミナーのあと、自社に合わせた相談はできますか?
A. できます。自社のどこにAIを当てるべきかを一緒に整理する、無料のAI活用診断(個別ヒアリング)をご用意しています。今回のアンケートでは、回答者10名のうち4名の方からご希望をいただきました。
まとめ
射水市でのAI活用講座では、「業務をタスクに分解し、詰まっている箇所にだけAIを当てて、回転率を上げる」という考え方を、参加者ご自身の事業を題材に実践しました。アンケートの満足度は平均4.7(回答10名)で、特に「AIに質問させる」使い方に反応が集まりました。
ご参加いただいた皆さま、主催の射水市学習交流スペース MOKUMOKU、共催の Switch IMIZU(射水市ビジネス支援センター)の皆さまに、心よりお礼申し上げます。
- 文化審議会著作権分科会法制度小委員会「AIと著作権に関する考え方について」(令和6年3月15日)
- 参加者アンケート:2026年9月29日の講座終了後に実施(回答10名、CES UP株式会社集計)