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2026.09.28

【事例】Iクリニック(歯科)|分散した情報共有を一元化する業務棚卸し

歯科クリニックで分散していた情報共有ツールを1つに一元化し、業務棚卸しで課題を整理する流れの図解

※お客様のご意向により社名は仮名で掲載しています。

執筆灰藤 健吾(CES UP株式会社 取締役CAIO/生成AIアドバイザー/生成AIコミュニティ「SHIFT AI」認定講師)
公開日:2026年9月28日/最終更新日:2026年9月28日

院内の連絡はLINE、ファイルはDropbox、掲示板は別のサービス――。スタッフが増え、便利なツールを少しずつ足していった結果、「あの情報はどこにあったか」を探す時間が増えている医療機関は少なくありません。

本記事では、大阪府の歯科クリニック・Iクリニックで、CES UPが進めている情報共有ツールの一元化とAIによる業務改善の取り組みを紹介します。支援はまだ途中です。成果を先取りせず、2026年9月時点の進捗と、12月に予定している効果検証までを正直にお伝えします。

この事例の要点
  • 業種・地域:歯科クリニック/大阪府
  • 課題:情報共有の手段が5〜6種類に分散。初月の業務棚卸しで8テーマ・23項目の課題が見つかった
  • CES UPの支援:Google Workspaceへの一元化、会議録音からのAI議事録、クレーム報告書作成AI、技工物の納品可能日の自動計算ツールなど
  • 現在の状況:2026年9月時点で取り組み項目16項目中、完了1・進行中4。効果検証は2026年12月に実施予定

ご支援前の課題

Iクリニックの最大の課題は、院内の情報共有の手段が5〜6種類に分散していたことです。使われていたのは、次のようなツールでした。

分類 使われていたツール
チャット・連絡 LINE、LINE WORKS、Chatwork
掲示板・情報共有 Zoho(掲示板)
ファイル共有 Dropbox
表・一覧 スプレッドシート

Iクリニックで使われていた情報共有ツール(ご支援開始時)

ツールが分かれていると、「この連絡はどこで回したか」「最新のファイルはどれか」を確認する手間が生まれます。特に掲示板として使っていたZohoは検索ができず、過去の情報を探すのが難しい状態でした。一方で、掲示板の利用には月額36,000円の費用がかかっていました。

会議の議事録にも手間がかかっていました。会議のあとに内容をまとめ直す作業に、1回あたり30〜60分ほどかかっていたとのことです。

Iクリニックの取り組みの全体像課題:情報共有の手段が5〜6種類に分散、切り口:初月に全業務を棚卸し、支援内容:Google Workspaceへの一元化+AI業務改善、現在の状況:16項目中完了1・進行中4(2026年9月時点)Iクリニックの取り組みの全体像課題情報共有の手段が5〜6種類に分散切り口初月に全業務を棚卸し支援内容Google Workspaceへの一元化+AI業務改善現在の状況16項目中完了1・進行中4(2026年9月時点)
図1 Iクリニック(大阪府・歯科)の取り組みの全体像:課題・切り口・支援内容・現在の状況

CES UPの切り口:初月に全業務を棚卸しする

CES UPが最初に行ったのは、ツールの入れ替えではなく、初月に全業務を棚卸しすることでした。これはCES UPの支援メソッドの一つ「まず測る」にあたります。いきなりツールを変えるのではなく、現状を把握してから優先順位をつける進め方です。

棚卸しの結果、課題は8テーマ・23項目に整理されました。この棚卸しをもとに、情報共有の一元化に加えて、議事録・報告書づくり・技工物の納期確認といった個別業務の改善にも取り組むことになりました。

業務棚卸しで見つかった課題初月の業務棚卸しで8テーマ・23項目の課題が見つかり、優先度をつけて段階的に着手したことを示す図初月の業務棚卸しで課題を見える化8テーマ23項目優先度をつけ、段階的に着手
図2 初月の業務棚卸しの結果(8テーマ・23項目)と進め方
なぜ棚卸しから始めるのか
情報共有ツールの問題は「ツールを1つにすれば解決」と考えがちです。しかし、各ツールには実際に回っている業務がひもづいています。先に業務を洗い出しておかないと、移行後に「あの連絡はどこでやるのか」が決まらず、結局元のツールに戻ってしまうことがあります。棚卸しの進め方はL社の事例(業務棚卸しをチェックリスト式に)でも紹介しています。

棚卸しで見えた課題には優先度をつけ、一度にすべてを変えず、優先度の高いものから段階的に着手する計画にしました。

実施していること

Iクリニックでは、情報基盤の一元化と、AIを使った個別業務の改善を並行して進めています。主な取り組みは次のとおりです。

情報共有ツールの一元化イメージLINE、LINE WORKS、Chatwork、Zoho(掲示板)、Dropbox、スプレッドシートに分散していた情報共有を、Google Workspaceに集約するイメージ分散した情報共有をGoogle Workspaceへ集約支援開始時:5〜6種類に分散LINELINE WORKSChatworkZoho(掲示板)Dropboxスプレッドシート一元化後のイメージGoogle Workspace連絡ファイル掲示板などの情報共有を集約(段階的に移行)
図3 Iクリニックの情報共有ツール一元化のイメージ(支援開始時→一元化後)
取り組み 内容
Google Workspaceへの一元化 分散していた連絡・ファイル・掲示板などの情報共有を、Google Workspaceに集約する
会議録音からのAI議事録 会議の録音からAIで議事録を作る。目標は「完成度8〜9割の議事録を30分以内」に作れる状態
クレーム報告書作成AI 報告書のたたき台をAIで作り、作成の負担を減らす
技工物の納品可能日の自動計算ツール 技工物がいつ納品できるかを自動で計算し、確認の手間を減らす

議事録の「30分以内・完成度8〜9割」は目標値であり、成果ではありません

Google Workspaceを選んだ理由

Google Workspaceは、メール・チャット・ドライブ・スプレッドシート・会議(Google Meet)を1つのアカウントでまとめて使えるサービスです。情報の置き場所が1つになれば、「どこにあるか」を探す時間を減らせます。スプレッドシートはすでに院内で使われていたため、移行後も操作に慣れやすい点もメリットです。

会議の議事録については、Google Meetに「自動メモ生成」という機能があります。2026年9月時点のGoogle Meetヘルプでは、会議メモをGoogleドキュメントで自動作成して主催者のGoogleドライブに保存し、日本語を含む8言語に対応していること、利用には対象のGoogle Workspaceエディションなどへの登録が必要なことが案内されています。どの方法で議事録を作るかは、プランや運用に合わせて選びます。

AIの議事録は「確認する前提」で設計する

AI議事録の目標を「完成度8〜9割」としているのは、最後の1〜2割は人が確認・修正する前提で設計しているからです。AIは聞き取りの誤りや、話の要点の取り違えを起こすことがあります。CES UP自身も議事録作成をAIで自動化していますが、生成と検証を別々のAIに担わせる2段構えで精度を担保しています(CES UPの議事録自動化の事例)。

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現在の状況(2026年9月時点)

2026年9月時点で、Iクリニックの支援は6か月の予定期間の折り返しにあたります。取り組み項目16項目のうち、完了が1項目、進行中が4項目です。残りの項目は、棚卸しでつけた優先度に沿って順次着手していきます。

項目 2026年9月時点
取り組み項目 16項目
完了 1項目
進行中 4項目
効果検証 2026年12月に実施予定

時間の短縮や費用の変化など、効果の数値はまだ確認していません。検証前の見込みを成果として掲載することはせず、12月の効果検証の結果が出た段階で、本記事をリライトして追記します。

2026年9月時点の進捗と今後の予定取り組み項目16項目のうち完了1項目・進行中4項目・残り11項目であること、支援開始時の業務棚卸し、2026年9月時点の折り返し、2026年12月の効果検証予定を示す図2026年9月時点の進捗(取り組み項目16項目)完了 1項目進行中 4項目残り 11項目支援開始初月:業務棚卸し2026年9月時点6か月の支援の折り返し2026年12月効果検証(予定)
図4 2026年9月時点の進捗と、12月の効果検証までの流れ(効果の数値は未確認)

担当コンサルタントのコメント

担当コンサルタント 灰藤 健吾

クリニックのように少人数で多くの業務を回している現場では、便利なツールをその都度足していくうちに、情報の置き場所が増えていきます。一つひとつのツールは悪くなくても、全体として「どこを見ればよいか」が分かりにくくなるのが問題です。

Iクリニックでは、初月に業務を棚卸ししたことで、情報共有だけでなく議事録や報告書、技工物の納期確認など、手を入れるべき業務の全体像が見えました。全体像が見えていると、「まずどれから始めるか」を判断しやすくなります。

医療機関の方へのアドバイスは、ツールを選ぶ前に、患者さんの情報をどこまでAIやクラウドで扱うかのルールを決めておくことです。ここが決まっていると、その後のツール選びと運用がぶれにくくなります。

医療機関でAI・クラウドを使うときの前提

患者さんの病歴などの情報は、個人情報保護法上の「要配慮個人情報」にあたり、慎重な取り扱いが求められます。厚生労働省は「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」を公表しており、2026年9月時点の最新版は2026年6月の第7.0版です。また、個人情報保護委員会は2023年6月に生成AIサービスの利用に関する注意喚起を公表しています。AIやクラウドサービスの導入時は、これらを踏まえて院内の運用ルールを決めることが前提になります。

今後の取り組み:12月の効果検証へ

今後は、進行中の4項目を仕上げながら、残りの取り組み項目にも順次着手していきます。2026年12月には、取り組みの効果を検証する予定です。

効果検証では、取り組み前後を同じ物差しで比べることが大切です。たとえば、議事録作成にかかる時間、情報を探す手間、ツールにかかる費用などが比較の観点として考えられます。CES UPでは、導入前の見込み(試算)と導入後の実測を分けて扱い、実測で確認できたものだけを成果として報告する方針です。

ツール費用の見直しや、非営利・小規模事業者向けの無償プランの活用など、費用面の工夫はN保育園の事例でも紹介しています。また、業種別のAI活用の取り組みは業種別 生成AI活用の取り組み8選にまとめています。

同じ課題を持つ医療機関の方へ(よくある質問)

Q. 情報共有ツールが増えすぎたとき、何から手をつければよいですか?
A. いきなりツールを入れ替えるのではなく、まず業務全体を棚卸しして、どのツールで何をやり取りしているか、どこで困っているかを洗い出すことです。Iクリニックでは初月に棚卸しを行い、8テーマ・23項目の課題を整理してから、優先度順に着手しました。
Q. Google Workspaceに一元化するメリットは何ですか?
A. メール・チャット・ファイル・表計算・会議を同じアカウントで扱えるため、情報の置き場所が分かりやすくなり、検索もしやすくなります。2026年9月時点では、Google Meetの「自動メモ生成」のように会議メモをAIで作る機能もあり、対象プランであれば日本語にも対応しています。
Q. 医療機関で生成AIを使うときに注意することは何ですか?
A. 患者さんの情報を扱う場合は、個人情報保護法に加えて、厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」(2026年9月時点の最新は第7.0版)を踏まえた運用が必要です。どの情報をAIに入力してよいかを院内で決めてから使い始めることをおすすめします。
Q. Iクリニックの取り組みの効果はいつわかりますか?
A. 2026年12月に効果検証を行う予定です。2026年9月時点では、取り組み項目16項目のうち完了1項目・進行中4項目の段階で、効果の数値はまだ確認していません。検証後に本記事へ結果を追記します。

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この記事を書いた人
CES UP株式会社 取締役CAIO/生成AIアドバイザー/生成AIコミュニティ「SHIFT AI」認定講師

中小企業を中心に、生成AIの導入支援・AI研修・業務改善ツールの設計を担当。研修は事前ヒアリングで受講企業の業務に合わせてカスタマイズし、Zoomによるリアルタイム講義と月次フォローアップで現場への定着まで伴走している。不動産・士業・教育・保育福祉・婚礼・旅館飲食・医療など、幅広い業種のAI活用を支援。 プロフィール詳細

CES UP株式会社(セスアップ)は、大阪を拠点に中小企業の生成AI導入・AI研修・業務改善ツール開発を支援する会社です。CS(顧客満足)とES(従業員満足)を共に高める「気持ちよく機能する仕組みづくり」を理念に、生成AI顧問・AI研修・ツール開発を提供しています。AIソリューション事業/お問い合わせ



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