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2026.09.25
【事例】G社(婚礼業)|プランナーの制作業務を3段階設計でAI化
※お客様のご意向により社名は仮名で掲載しています。
婚礼の現場では、プランナーがお客様と向き合う時間こそが価値の源泉です。ところが実際には、打ち合わせ後の記録づくりや事務作業に時間を取られ、接客に使える時間が削られている会社は少なくありません。
本記事では、従業員100名前後の婚礼業・G社で、CES UPが取り組んだ制作業務のAI化と全社研修の事例を紹介します。ポイントは、AIに文章を一気に書かせるのではなく「事実抽出→構造化→文体再現」の3段階に分けて設計したことです。効果の数値はまだ確認できていないため、成果を盛らずに設計の考え方と現在の状況をお伝えします。
- 業種・規模:婚礼業/従業員100名前後
- 課題:カップルごとの記録制作にプランナーの時間が奪われ、接客時間が削られていた
- CES UPの支援:全社研修(基礎→応用→現場実装→部署対抗ハッカソン)と、ヒアリング音声から「事実抽出→構造化→文体再現」の3段階で下書きを作る仕組みの設計
- 現在の状況:効果の数値は未確認。制作システムと契約後事務の自動化は構築・開発を進めている段階
ご支援前の課題
G社の課題は、カップルごとに制作する記録物の作成に、プランナーの時間が大きく割かれていたことです。記録物は1組あたり50ページを超えるボリュームがあり、打ち合わせやヒアリングで聞いた内容を漏らさず拾い、読み物として組み立てる必要がありました。
この制作は「書く力」と「聞いた内容を正確に覚えている力」の両方が求められる仕事です。そのため担当プランナーが自分で抱え込みやすく、組数が増えるほど制作に追われ、本来の仕事である接客に使える時間が削られていく構造になっていました。
もう一つの課題は、契約後に発生する事務作業です。お客様ごとに必要な手続きや連絡は多く、定型的でありながら手作業で処理されている業務が残っていました。
CES UPの切り口:「効率化」ではなく「接客時間を取り戻す」
CES UPがこの案件で最初に決めたのは、AI活用の目的を「制作の効率化」ではなく「プランナーが接客に使える時間を取り戻すこと」と定義することでした。これはCES UPの支援メソッドの一つ「伝え方を変える」にあたります。
「効率化」という言葉は、現場からすると「仕事を減らされる」「自分の工夫が不要になる」と受け取られることがあります。一方で「接客時間が増える」という目的であれば、プランナーにとって自分の仕事の価値を高める話になります。同じAI化でも、目的の言い方ひとつで現場の協力の度合いが変わります。
制作工程を分解して「どこをAIに任せるか」を決める
次に、制作の工程そのものを分解しました。記録物づくりは、突き詰めると「事実を漏らさず拾い、物語に組み直す」作業です。この工程を3段階に分け、それぞれにAIの役割と人の確認ポイントを置く設計にしました。
| 段階 | AIの役割 | 人が確認すること |
|---|---|---|
| 1. 事実抽出 | ヒアリング音声から、日付・出来事・エピソードなどの事実を拾い出す | 抜け漏れがないか、話していない内容が混ざっていないか |
| 2. 構造化 | 拾った事実を章立て(構成案)に整理する | 並び順・章の分け方が、そのカップルらしい流れになっているか |
| 3. 文体再現 | 構成に沿って、求められる文体で下書きを作る | 表現のトーン、最終的な仕上げ |
G社で採用した多段階設計の考え方(CES UP作成)
AIに「この音声から記録物を書いて」と一度に指示すると、それらしい文章は出てきます。しかし、どの事実が抜けたのか、どの表現がAIの補完なのかを後から見分けるのは困難です。段階を分けておけば、誤りが入った段階を特定でき、プランナーは確認と仕上げに集中できます。
「自社の制作業務も、どこまでAIに任せられるか知りたい」という方へ。業務の分解からご一緒します。
実施したこと:全社研修と3段階の制作システム
G社で実施した取り組みは、大きく「全社研修」と「制作・事務の仕組みづくり」の2本柱です。研修で社内のAIリテラシーをそろえながら、プランナーの負担が大きい制作業務から仕組み化を進めています。
全社研修:基礎から部署対抗ハッカソンまで4段階
研修の設計手順や、定着させるためのフォローアップの考え方は「AI研修を「やって終わり」にしない方法」でも詳しく解説しています。
ヒアリング音声からの事実抽出・章立てシステム
制作業務については、ヒアリングの音声を起点に、前述の3段階のうち「事実抽出」と「構造化(章立て)」を担うシステムの構築を進めています。プランナーは、AIが拾った事実と章立て案を確認・修正したうえで文章化に進む、という運用を想定した設計です。
ここで重視したのは、AIの出力を「完成品」ではなく「確認しやすい下書き」として位置づけることです。事実が一覧で出てくれば、プランナーは記憶と突き合わせながら短時間でチェックできます。
契約後事務の自動化(開発中)
契約後に発生する事務作業についても、自動化の仕組みを開発しています。記事公開時点では開発中のため、完成後に内容を追記します。
現在の状況
記事公開時点で、時間短縮などの効果の数値は確認できていません。そのため本記事では、成果の数字ではなく、設計の考え方と取り組み内容のみを掲載しています。
CES UPでは、体感や見込みの数字を成果として掲載しない方針をとっています。G社についても、効果を客観的に確認できた段階で、本記事をリライトして結果を追記する予定です。
担当コンサルタントのコメント
婚礼業に限らず、「聞いた話を正確にまとめ、読み物にする」業務はAIと相性が良い一方で、一度に任せると失敗しやすい領域です。AIは話の抜けを補うように、もっともらしい文章を書いてしまうことがあるからです。
G社では、事実を拾う段階と、文章にする段階をはっきり分けました。こうしておくと、プランナーの方は「事実が合っているか」「この二人らしい流れか」という、人にしか判断できない部分に時間を使えます。
同業の方へのアドバイスは、まず目的を「接客時間を増やす」のように、現場の方が前向きになれる言葉で決めることです。そのうえで、制作工程を分解し、AIに任せる段階と人が確認する段階を決めると、無理のない導入になります。
個人情報の扱いは最初に決めておく
婚礼の記録制作では、お客様の氏名やエピソードなど個人情報を多く扱います。個人情報保護委員会は2023年6月に「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」を公表し、個人情報取扱事業者に対して、利用目的の範囲内での入力であることの確認や、入力データが機械学習に利用されないことの確認を求めています(2026年9月時点で同委員会サイトに掲載)。ツールを選ぶ前に、社内でこの確認手順を決めておくことをおすすめします。
今後の取り組み
今後は、構築中の制作システムと契約後事務の自動化を仕上げ、現場での運用に乗せていきます。あわせて、効果を数字で確認できるよう、「1組あたりの下書き作成にかかる時間」や「プランナーが接客に使えた時間」など、何を測るかを決めてから比較する予定です。
AIの出力の確認を別のAIに任せる「2段構え」の設計も、制作量が増えた際の選択肢になります。CES UP自身の議事録で運用している仕組みは「議事録を「AIが作り、別のAIが検証する」2段構えで自動化」で紹介しています。
同じ課題を持つ企業の方へ(よくある質問)
婚礼業・サービス業で「接客時間を増やすためのAI活用」を検討中の方は、初回無料相談をご利用ください。
中小企業を中心に、生成AIの導入支援・AI研修・業務改善ツールの設計を担当。研修は事前ヒアリングで受講企業の業務に合わせてカスタマイズし、Zoomによるリアルタイム講義と月次フォローアップで現場への定着まで伴走している。不動産・士業・教育・保育福祉・婚礼・旅館飲食・医療など、幅広い業種のAI活用を支援。 プロフィール詳細
CES UP株式会社(セスアップ)は、大阪を拠点に中小企業の生成AI導入・AI研修・業務改善ツール開発を支援する会社です。CS(顧客満足)とES(従業員満足)を共に高める「気持ちよく機能する仕組みづくり」を理念に、生成AI顧問・AI研修・ツール開発を提供しています。AIソリューション事業/お問い合わせ